鬱の診断は早めに受けよう|早期発見・治療のために

心の健康に対する考え方

女性

生活に溶け込む心の治療

21世紀に入ってから世の中はますます複雑化し、その中で生きていく現代人はより多くのストレスに日々さらされています。仕事や家事などで忙しい毎日を過ごしているうちには、それらの重いストレスに心が耐え切れなくなることもあります。心が病気にかかるリスクは、20年前や30年前と比べても高まってきているのです。心の病気にはいろいろな種類がある中で、全国の患者数が100万人とも推定される鬱病は特に多い病気です。日本人のおよそ100人に1人が病院を受診して鬱病と診断されている計算になります。それだけ心の病気になりやすい時代だということも指摘できますが、一方では心の病気で病院を訪れる際の心理的抵抗が低くなっている表れとも言えます。かつては心の病気を専門に扱う病院に対して、多くの人は敬遠する向きがあったものです。ある種の偏見も世の中にはありましたが、今は心療内科や精神科などの病院・クリニックも身近な存在となりました。鬱病などでこうした医療機関を受診する人が増え、心の病気も一種の市民権を得た感があります。まるで風邪の治療で内科を受診するように、鬱病で心療内科や精神科に通院する人が多くなっていますが、この病気は風邪と違って治療にある程度の時間がかかります。多くの患者は普通に日常生活を送りながら治療を続けているのです。鬱病と診断されるには、問診の際にいくつかの診断項目をクリアする必要があります。気分の落ち込みや喜び・興味の喪失といった症状が代表的な例ですが、それらの症状が2週間以上の長期にわたって複数項目認められる場合に鬱病と診断されるのです。最近では脳の血流を測定する機械を使って診断の決め手とする病院やクリニックも増えてきました。

治ったと思っても油断禁物

鬱病の治療法は確立しています。医師の指導に従って薬を飲み、必要に応じて適切な心理療法を受けながら日常生活のストレスを軽減していれば、症状は必ず改善していくものです。症状の進行具合によっては本格的な休養を必要とすることもありますので、仕事を休んだり入院したりするケースも出てきます。症状が比較的軽い場合や、ある程度の治療効果が出て症状が軽くなった場合は従来通りの生活を送りながらの通院治療も可能です。ここで注意しなければならないのは、症状がある程度改善したからと言って油断しないことです。鬱病というのは単なる心の問題ではなく、脳内神経伝達物質の活動が低下するという明確な生理学的現象が引き起こす病気です。病院で処方される薬もこの状態を改善させるために飲むのですから、一見治ったと思ってもそれは薬の効果かもしれません。治ったと思い込んで薬を飲むのをやめてしまえば、症状がぶり返す可能性もあるのです。心の健康を取り戻すためにも、治療は粘り強く続ける必要があります。症状は軽くなったりまた少し重くなったりしながら、全体としては少しずつ上昇線を描いて改善していくものです。鬱病の薬を飲み続けることは、喩えて言うならば高血圧の薬を毎日飲むのと似ています。高血圧の薬を飲みながら体調をコントロールするのと同じように、鬱病の薬を飲みながら心の調子を整えていくのです。鬱病を発症した人は心の病気にかかりやすい性質を持っているとは言え、定期的に心療内科や精神科を受診していれば心の健康を維持していくことができます。そうやって心をコントロールできれば、従来通りの生活を送ることも十分に可能なのです。